公正証書遺言以外では検認が必要になる
遺言により、法定相続分とは違う割合で相続させたり、相続人以外に財産を残す遺贈ということもできます。また、遺言を実行するために、遺言執行者を指定することができます。
代表的な遺言の方式には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があります。そのほかにも特別方式遺言もあります。しかし、要件を満たしてないと相続手続きができなくなります。
公正証書遺言以外は、相続開始後、家庭裁判所で検認という手続きが必要になります。
遺言書があるか確認
遺言書があれば法定相続分とは違う割合で相続することも可能なため、遺言書があるかないかは大事なことになります。
遺言書の存在を知らされていない場合でも、遺言が残されていることはあります。自宅や病院、施設などにある保管していそうな場所を探してみましょう。貸金庫などに入っている場合もあります。
遺言システムの活用
公正証書遺言で残していたとわかっている場合は、作成した公証役場に原本が保管されており、公証役場に行って、遺言検索を行うことができます。
遺言検索を行う場合には、遺言を残した人が死亡していることを確認できる除籍謄本と、検索を行う人が相続人であることが確認できる戸籍謄本などが必要です。手数料は閲覧だけなら200円、謄本も入手する場合には1枚250円です。
遺言の検認手続き
公正証書遺言以外の形式で遺言が残されていた場合には、その遺言を保管していた人や発見した人は、家庭裁判所で検認の手続きをする必要があります。
検認とは相続人に遺言の存在と内容を知らせるためと、遺言書の形状や日付、署名などを検認した日における内容を明確にします。これは、遺言書の偽造や変造を防ぐためです。
検認の手続きが終了すると、遺言書に検認済み証明書を添付されて交付されます。公正証書遺言以外の遺言では、相続するには検認済み証明書が添付された遺言書が必ず必要になります。
遺言書の検認申立書の書き方(裁判所PDF)
公正証書遺言以外の遺言の場合、検認手続きが必要なのですが、この検認手続きでは、遺言の具体的な内容までは検討されず、形式的にチェックされるだけです。
そのため、遺言の内容に問題があるなど、たとえ検認手続きが終了していても、遺言の効力自体が否定されて、実際の相続には使えないという可能性もあります。
たとえば、死亡した人が自分の土地だと思い込んでいて、誰々に相続すると書いてあったとしましょう。いざ、相続が開始したときに、調べてみたら、まったく違う持ち主だったということもあるのです。その場合は、その通り、相続するわけにはいかなくなります。
相続の遺留分
遺言によって、法定相続分とは違う割合で相続人に相続できますが、法定相続人には、遺言の内容にかかわらず、最低限相続できる権利が遺留分です。
遺留分減殺請求
法定相続人は、故人の全財産の2分の1や3分の1ですが、この遺留分を侵害しているものに対し、遺留分減殺請求することによって確保することができます。
ただし、この遺留分減殺請求は、相続開始および減殺すべき贈与、または遺贈があったことを知ったときから1年経過するか、相続開始してから10年経過すると請求できなくなります。
遺留分は相続放棄と同じように放棄することもできます。
遺留分は、遺留分減殺請求をして、初めて認められるものなので、遺留分の放棄には手続きは必要ありません。